10月15日午前10時から会津若松市議会の目黒議長をお迎えして、議会改革について研修した。会津若松市議会は全国の中でも議会改革の先進市である。その基本理念を「市民の負託に応えうる合議体たる議会づくり」に置き、平成20年には、議会基本条例を制定し、いくつかの注目すべき制度を創設している。
その主なものは、(1)市民との意見交換会 (2)議員間の自由討議 (3)請願・陳情者の意見陳述の制度化 である。これまでの制度にはなかった、住民の議会活動への参画を位置づけたことにより、議会による政策形成機能の強化を図り、住民自治をより具体的な形で実現しようというものである。
これまで議会改革といえば、「定数削減や報酬削減」ととらえられることが多い。実はこうした議論は多くの場合、議会活動や議会の存在意義についての誤解や誤認識に基づくものである。議会が何をしているのか分からない、とか、議員がどういう活動をしているか分かりずらい、さらには当局の提案に対する追認機関ではないか、などといった声を聞くことが多い。
こうした情報不足から、安易に、財政環境が厳しいから定数や報酬を削減すれば無駄が省けるという考えが生まれる。ムダの削減といえば市民には受けがいい。
がしかし、よく考える必要がある。議会に係る経費は、予算の1%に満たない自治体が圧倒的に多い中で、定数や報酬を少しいじってもそれほど大きな削減効果は期待できない。逆に、定数削減はそれだけ市民のニーズを受け止めるチャンネルが減少することを意味し、結果、市民の声が市政に届きにくくなる、ということに気付かないことが多い。
問題は、こうした声が生まれる原因が、議会制度そのものにあるのか、あるいはその制度に携わる人間=議員そのものにあるのか見極める必要があるということだ。後者の場合は、これまで以上に市民のニーズの吸い上げや議員活動の積極的な広報をしっかり行って、市民に自分の活動が伝わるように努力すべきである。議員力の向上が要請されるのは当然である。こうした努力を怠る議員がいるとしたら、選挙でふるいにかければよい。
会津若松市の場合は、議会制度そのものに改善の余地を見出し、「合議体」としての議会を目指した改革を行ったといえる。
地方自治体は、2元代表制である。国と違って、首長も議会もそれぞれ選挙で選ばれ、それぞれが住民の代表である。首長は行政執行という役割を与えられるが、チャンネルは一つである。これに対して議会は、議員数だけの対住民のチャンネルを持つ。多様性をもつ住民の意思をより多く反映できるよう拵えてある。この点に着目して、「合議体」としての議会の機能を強化し、首長を中心とする圧倒的情報量、ノウハウを持つ当局の行政執行に対してバランスが取れるようにすることは、多様性の時代を背景とした適正な自治体経営の実現のうえで必然である。
時代の移り変わりに伴い、社会構造も刻々と変化する。こうした変化に対して、旧来のシステムが制度疲労を起こしていないか、まずこの検証からスタートすべきである。そして、一方で議員力を高めるための自己研さんを絶えず行い、チェック機能にとどまらず政策形成能力を身につけることも求められる。こうしたうえで、「議会」としての住民との情報交換や意見交換の機会の創出に努めていくことが議会への信頼を高めることにつながると確信する。
このようなことが議会改革であると、会津若松市議会の状況をお聴きして改めて感じた。このプロセスを経ないでいきなり定数削減を持ち出すのはあまりにも乱暴であり、かえって住民にとって不幸である。