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マニフェスト大賞授賞式に思う

11月9日に六本木ヒルズ49階にて第13回マニフェスト大賞授賞式があり、甲府市議会会派公明党の佐野議員がマニフェスト推進賞議会部門優秀賞を受賞した。

ローカルマニフェストの推進過程を議会発言の工程管理により可視化し、マニフェストの実効性を確保しようとする試みをその内容とする。

マニフェストの歴史はそう古いものではないが、すでに15年が経過し、一時期旧民主党がマニフェストを用いて、政策を時間軸と量、財源を明示して選挙に活用したことが有権者に分かりやすい判断材料を与えたと好意的に受け入れられ、結果政権交代が実現したことは記憶に新しい。

元三重県知事の北川教授が中心となって提唱したマニフェストが、従来の抽象的な「公約」にとって代わって、選挙の際の国民の判断材料として今後の選挙戦の主流となると、革命的な衝撃を受けた国民は少なくない。

しかし、当時の民主党政権によってその希望は粉々に砕け散った。高速道路の無料化、子ども手当等はマニフェストに明示されたにもかかわらず期待どおりに実現することはなかった。

そればかりか、マニフェストに明示されていなかった「消費税引き上げ」が突如としてもちだされた。その政策のずさんさは目を覆うばかりの惨状であり、マニフェストへの信頼が一気に失墜した。

マニフェストは一歩運用を間違えれば国民にとって極めて不幸な結果をもたらす危険がある事を我々は学んだ。盲目的な信頼程怖いものはない。

マニフェストのサイクルにより住民福祉増進を目指すあり方に特段異論を差しはさむつもりはない。政策がPDCAにより実現に向けて綿密に管理されるものであれば、実に優れたツールである。

しかし、一番の論点は、マニフェストで取り入れられた政策に正当性の淵源があるかどうかである。全く正当性を持たない政策は、マニフェストで約束されてもかえって有害である。

有権者の歓心を買うため、すなわち票を獲得するため、心を揺さぶられるような甘いことばで惑わすとしたら、例えば子ども1人につき手当を今の倍以上交付する、といったとしたらどうだろうか。

実現可能性の殆どない政策、ニーズ把握もしないで机上で組み立てるような政策などは、こうした「正当性の淵源」がないといえる。旧民主党の失敗はこの正当性を持たない政策をマニフェストという化粧で塗り固めてしまったことにある。

マニフェストというときまって旧民主党の失敗が想起され、懐疑的になるのも無理もない。

マニフェストに取り入れる政策は最低限国民のニーズを把握し、現実的に実現可能かどうかをまず吟味しなければならない。

また、同時に、前にも指摘したが、マニフェストに書かれた政策を実行して、それが国民にとって「役に立ったか」どうかの「成果測定」をどうするか、というベーシックな課題がある。

様々な形で政策を提言し、実行までを管理し、完了させて、その政策が効果があったか、成果はどうか、という投げかけがあった場合、今のところ的確に説明できるツールがない。

マニフェストを用いて、議会で進行管理して政策サイクルを実行している、と、一瞬目を見張るかもしれない。しかし次の瞬間、市民からの「それでどれだけ我々にとって利益があるの?」という一言で打ち砕かれる。

この政策実行の正当性の淵源、成果の科学的な説明が確立した時に初めてマニフェストが本来の輝きを取り戻すと強く感じた授賞式だった。

49階からの都心風景 49階からの都心風景