オープンカレッジの2つ目は、音楽評論家の湯川れい子さんが座長を務める「われら動物愛護委員会」である。女優の倍償千恵子さんもパネラーで登場し、本県からは、NPO法人リトルキャッツの土屋裕子さんがゲストで登場した。
湯川れい子さんは、大学時代にその名を知ったのでかれこれ40年近く前のことになるが、当時よく聴いていたNHKFMのDJもやっておられたと記憶している。ボズ・スキャッグスの「シルク・ディグリーズ」というアルバムに収録されている「ハーバーライト」という名曲の見事な曲評に深い共感を覚えた。
倍償千恵子さんはいわずと知れた「寅さん」の妹さくらさんである。
さて、講義の中で印象深かったのは、ペットの殺処分の問題である。残酷な話だが、保健所で殺処分する方法は、初めて知ったことだが、全国的に2酸化炭素ガスによる方法が圧倒的に多いということである。この方法はペットに多大な苦痛を与えるということである。人間の都合でしかも苦しむ方法で故なく命を奪われてしまう。想像するだけで怖いことである。
また、原発事故の被災地の福島を訪れたときの話も伺った。避難所へはペットを連れていけない。県外へ避難せざるを得なくなった家庭で飼われていたペットは置いていかざるを得ない。そうしたペットたちを保護するシェルターを見に行ったとき、どのペットもたまらなく哀しい目をしていた。メンバーは皆、声も出なかったという。2度とあんな哀しげな眼を見たくないとおっしゃっていた。
パネラーに共通している思いは、ペットにも「人格」とか「尊厳」を確立すべきということだと理解した。人間に認められている「基本的人権」をペットにも認めるべきではないか。しかしながら、現在は法律上は「器物」すなわち「モノ」である。殺傷しても器物損壊罪にしかならない。
高齢者の独居世帯や老々世帯が増えている。こうした世帯は多くが子どもたちが独立し、なおかつ普段なかなか子どもたちにも会えない状況と聞く。ペットはそうした家庭でのかけがえのない「家族」である。
湯川さんの話では、殺処分の原因の一番多いのが、飼い主が亡くなって引き取り手がいない場合だという。まだ救われる気がする。と同時に、高齢化社会の世相を色濃く反映している。リトルキャッツはH16からこうしたペットの里親探しの活動をしているそうである。
熊本県での殺処分ゼロの取り組み、また鳥取市の桑田議員の同様の取り組みなど、全国的にも故なく命を奪うペットの殺処分を廃絶しようという動きが広まっている。おりしも改正動物愛護法の施行もあり、飼い主、業者の責務がより強く規定され、ようやくペットの地位が引き上げられつつある。
しかしながら、こうした当たり前と思われる事柄まで法律で規定していかなければならないほど人間社会のモラルが低下しているかと思うと忸怩たるものがある。散歩途上での「フン」の始末もしかり、一人の心無い振る舞いが愛好家全体の評価を貶めていることに、もう一度思いをいたらせるべきではないだろうか。