先日、知人に紹介されて、ふじかわ文化倶楽部の「音・語れり 秋の夕べ」コンサートを初めて見に行った。
富士川町ますほ文化ホールロビーを会場にしたロビーコンサートで、フリーアナウンサーの山形由紀子さんの朗読をはさんだ洒落たコンサートである。
この日は、「今宵は、JAZZで・・・」と題し、JAZZのスタンダードナンバーを中心に見事な演奏で楽しませていただいた。
パンフレットを見た時に、ピアノ、ベース、そしてなんと尺八のトリオということで、非常に興味がわいたのである。
ドラムやサックスが加わるのはこれまでも聞いたことがあるが、尺八は初めてである。しかし、最初の曲「スターダスト」で尺八の音色にふれたとき、これほどまでにJAZZに合うとは思いもよらなかった。どこまでも新鮮な、新たな発見をした思いである。
メンバーは、尺八が岩間龍山氏、ピアノが雨宮一博氏、ベースが石合也寸志氏である。いずれも一流の演奏者と見える。
進行役は雨宮氏が務め、JAZZの生命線が「アドリブ(即興演奏)」であることが紹介された。その時々の演奏で即興で奏でることから、同じ曲でも違った印象を受けることはよくある。非常に奥が深い音楽である。
2曲目の「ミスティー」はスローバラードではよく聞く曲だが、この日はボサノバ風にアレンジ。これが実に軽快でノリがいい。
1部最後の曲は、「Left alone」。曲紹介では、映画「キャバレー」の主題歌とあった。いわずとしれたマル・ウオルドロン作曲、ビリー・ホリデイが詞を付けた名曲である。
大学時代、もう35年くらい前にLPを買って、毎日のように聴いていた曲である。ヴォーカルのかわりに、ジャッキー・マクリーンの切なげなサックスが今でもよみがえる。ビリー・ホリデイが逝去した後のたしか追悼アルバムだったと思う。
サックスの代わりに岩間氏の尺八のこれまた胸をえぐるような音が郷愁を呼び起こす名演奏だった。
休憩後に登場した、山形さんの朗読。題は筒井康隆作ジャズ小説より「葬送曲」。その声質の良さと、目の前に情景が思い浮かぶほどの巧みなしゃべりに、さすがと感服した。とにかくあっという間に山形ワールドに引き込まれる。
彼女は、先月の甲府市制祭記念式典の司会を務めて頂いた。これまでも成人式の司会などで、甲府市ともなじみが深い、式典などでいまやなくてはならない人である。
瞬く間に、エンディングになり、リクエストにこたえて、これまたJAZZファンにとって知らぬものはいない名曲「オータム・リーブス(枯葉)」が演奏された。
もともとはシャンソンだが、いろいろなJAZZアーティストが取り上げており、今やJAZZのスタンダード曲である。これも大学時代、ビル・エバンスの演奏でよく聴いた。
瞬く間の約2時間。名残惜しいひととき、しばし「文化」に癒しを受け、心地よい興奮の中、帰途についた。
この機会を与えていただいた、「ふじかわ文化倶楽部」に深く感謝したい。同倶楽部は、コンサート活動を通して地域における芸術文化の活性化を目的としている。これまで素晴らしい活動をされており、また、サポーター会員を募集していると伺った。益々のご発展を心から期待したい。